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「なむ」は平成2年から毎月発行している福住寺の寺報です。
月報「なむ」
2025年6月
お仏飯(ぶっぱん)
各ご自宅などのお仏壇で、中央にご安置してある仏さまの前に「お仏飯」をお供えします。ご飯が炊けたら仏飯器に、蓮のつぼみ形に盛ります。いのちの糧であるお米をお供えし、先立たれた方々を含めた仏さまへの感謝を表します。
昨今、生活費全般の高騰は、日々の暮らしに大きな影響を与えております。特に、主食であるお米の値上がりは顕著であり、政府は備蓄米の放出などで対応しています。
農業における栽培の一例として、春に種もみを発芽させ育苗し、田に肥料をまき、耕して水を入れ、代をかき田植えをします。時に雑草や病害虫などを抑える防除、また、追肥や畔の草刈りなど、生育を観察しながら栽培するのです。
収穫を迎えると、刈り取り脱穀し乾燥、玄米にして出荷されます。育苗から収穫まで約5カ月かかるのです。しかも、天候に左右される栽培は、機械化されているとはいえ、思い通りにはいかないことが多く、大変な労力が必要です。
生育の途中に、重要な病気となる、いもち病になって、大幅な減収となることもあるのです。太陽の光からのエネルギーを受け、水や温度、様々な条件が調い生育が良ければ、一粒の種もみから、数百倍以上のお米が収穫されるのです。
仏さまの光に照らされ育てられている私達。時に、老いや病気に苦しみ、自分の思い通りには生きられないものと知らせて下さいます。体の不調から「年には勝てない」という言葉を多く聞きます。どんな状態であっても、仏法との出遇いは「いつでも育ち盛りの我が身であった。大きな収穫、実り多い人生である」と喜び、心が軽くなって生きていけるのです。
June 2025 Issue