福住寺

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「なむ」は平成2年から毎月発行している福住寺の寺報です。

月報「なむ」

2025年8月

自然法爾(じねんほうに) 〜願いにまかせる道〜

皆さま、この夏もまた、暑い日が続いております。夏と言えば蝉の声が朝から晩まで鳴り響き、時には夕立がざっと降って空気を冷やし、軒先には風鈴が揺れて涼やかな音色を響かせているイメージがあるかもしれません。こうした自然の音や動きの中に、阿弥陀さまのおはたらきを感じられることがあります。たとえば、風鈴の音は、自分で鳴らそうと思って鳴っているわけではなく風が吹くから、自然に鳴る。その音に、ふと心が落ち着いたり、「ありがたい」と思えたりする瞬間があります。仏教では、「自然(じねん)」という言葉が使われます。これは、阿弥陀さまの救いは、私が頑張ったから届くものではなく、“おのずから”私に向けて届けられているという意味です。

蝉の声が、夕立の雨音が、風鈴の響きが私の心にそっと届いてくれるように、阿弥陀さまの願い「そのまま救う」という、念仏の教えも阿弥陀さまの方から私に向けられ聞こえてくる、私たちが何かを足す必要もなく、ただそのままに受け取ることで安心して生きてゆける道を開いてくださっています。

この夏、蝉の声に耳を傾け、夕立のあとに空を見上げ、風鈴の音に心を委ねて、「南無阿弥陀仏」と声に出してみてください。その念仏の声のなかに、阿弥陀さまの願いが静かに自然と響いていることに、きっと気づかれることでしょう。

August 2025 Issue

 

 

光明山 福住寺

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